赤字でも法人税はかかる?利益が無くても支払わなくてはいけない税金を解説
「会社が赤字だから税金はかからない」
そう思われている経営者の方は少なくありません。
確かに、利益に対して課税される法人税は、赤字の場合には原則として発生しません。しかし、赤字であっても支払わなければならない税金があります。
法人を設立したばかりの会社や、業績が思うように伸びない会社では、「利益がないのに税金を支払うことになった」というケースも少なくありません。
この記事では、赤字でも発生する税金や、将来の税負担を軽減できる「欠損金の繰越制度」について詳しく解説します。
赤字なら法人税はゼロ?
法人税は、会社の所得(利益)に対して課税される税金です。
そのため、売上から経費などを差し引いた結果、所得がマイナス(赤字)となった場合は、原則として法人税(国税)は課税されません。
例えば、
売上:800万円
経費:900万円
所得:▲100万円
この場合、所得がマイナスのため、法人税は原則として発生しません。
ただし、「法人税がゼロだから税金は一切かからない」というわけではありません。法人には利益の有無に関係なく負担しなければならない税金もあります。
赤字でもかかる税金
法人住民税(均等割)
赤字の会社でも、多くの場合支払う必要があるのが法人住民税の均等割です。
法人住民税は、
・法人税額に応じて課税される「法人税割」
・資本金や従業員数などに応じて課税される「均等割」
の2つで構成されています。
赤字の場合は法人税額が発生しないため法人税割は課税されませんが、均等割は利益の有無に関係なく課税されます。
均等割はいくら?
均等割の金額は、
・資本金
・従業員数
・所在する自治体
によって異なります。
例えば、資本金1,000万円以下で従業員50人以下の法人では、
多くの自治体で年間約7万円程度(都道府県民税・市町村民税の合計)が一般的ですが、自治体によって異なります。
消費税
「赤字だから消費税も払わなくてよい」と思われがちですが、これは誤解です。
消費税は利益ではなく、売上に係る消費税から仕入れなどで支払った消費税を差し引いて計算します。
そのため、
利益が出ていなくても消費税の課税事業者であれば消費税の納税が必要になる場合があります。
例えば、
・大きな設備投資をした
・利益は少ないが売上は多い
といった会社では、赤字でも消費税を納めるケースがあります。
固定資産税
会社が土地や建物、償却資産などを所有している場合は、固定資産税(償却資産税を含む)が課税されます。
これは利益とは関係なく課税されるため、赤字であっても納税義務があります。
・社屋
・駐車場
・機械設備
・パソコンやコピー機などの償却資産(一定要件を満たすもの)
などを所有している場合は注意が必要です。
欠損金の繰越制度
赤字になった場合でも、その赤字が無駄になるわけではありません。
青色申告法人など一定の要件を満たす法人では、欠損金(赤字)を翌事業年度以降へ繰り越し、将来の黒字と相殺できる制度があります。
例えば、
1年目 所得:▲300万円
2年目 所得:500万円
この場合、一定の要件を満たせば、
500万円-300万円=200万円 を課税所得として計算できる可能性があります。
この制度を利用することで、利益が出た年の法人税負担を軽減できるため、創業間もない企業や設備投資を行った企業にとって大きなメリットとなります。
ただし、この制度を利用するには、青色申告の承認を受けていることや、確定申告を期限内に行うことなどの要件があります。
よくある質問
Q.赤字なら税金は一切かかりませんか?
いいえ。
法人税(国税)は原則として発生しませんが、法人住民税の均等割や固定資産税、消費税などは納税義務が生じる場合があります。
Q.設立したばかりで売上がなくても均等割はかかりますか?
原則としてかかります。
利益が出ていなくても、法人である以上、均等割りの納税義務が発生します。
Q.赤字でも消費税を支払うことがありますか?
あります。
消費税は利益ではなく、消費税の課税売上や仕入れなどを基に計算するため、赤字でも課税事業者であれば納税が必要になることがあります。
Q.赤字が続く場合でも確定申告は必要ですか?
はい。
法人は赤字であっても、原則として毎事業年度、法人税などの申告を行う必要があります。
まとめ
赤字だからといって、すべての税金がゼロになるわけではありません。
特に次の税金は、利益がなくても課税される可能性があります。
・法人住民税(均等割)
・消費税(課税事業者の場合)
・固定資産税・償却資産税
一方で、赤字には将来の利益と相殺できる「欠損金の繰越制度」という重要な制度があります。
適切に活用することで、将来の法人税負担を軽減できる可能性があります。
「自社ではどの税金がかかるのか」「欠損金の繰越制度を利用できるのか」といった判断は、会社の状況によって異なります。
不明な点などあればぜひ一度、税理士法人アンサーズ会計事務所までご相談ください。