相続した不動産を売却したら税金はかかる?取得費や特例について解説
相続した土地や建物を売却した場合、「相続税を払ったのに、さらに税金がかかるの?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
相続した不動産を売却すると、相続税とは別に、売却によって生じた利益に対して所得税・住民税がかかる場合があります。
また、相続した不動産は、被相続人が取得したときの金額を引き継ぐため、取得費が分からない場合には注意が必要です。
さらに、一定の要件を満たす場合には、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」や「空き家の3,000万円特別控除」などを利用できる可能性があります。
この記事では、相続した不動産を売却した場合にかかる税金や、取得費の考え方、利用できる特例について解説します。
相続した不動産を売却すると税金がかかる?
相続した不動産を売却した場合、相続税と譲渡所得に対する税金は別々に考える必要があります。
相続した時点では、相続財産の価額に応じて相続税を計算します。
一方、相続した不動産を売却した場合には、
■売却価格-取得費-譲渡費用
によって計算した譲渡所得に対して、所得税・住民税が課税されます。
つまり、
不動産を相続する
↓
相続税を計算する
↓
その後、不動産を売却する
↓
売却によって利益が出れば譲渡所得税等がかかる
という流れになります。
ただし、売却したからといって必ず税金が発生するわけではありません。
取得費や譲渡費用を差し引いた結果、譲渡所得が生じなければ、原則として譲渡所得に対する税金は発生しません。
譲渡所得はどのように計算する?
不動産を売却した場合の譲渡所得は、原則として次のように計算します。
■譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
例えば、相続した不動産を5,000万円で売却し、取得費が2,000万円、譲渡費用が300万円だった場合、
5,000万円-(2,000万円+300万円)=2,700万円
となり、2,700万円が譲渡所得となります。
ここで重要なのが、「取得費はいくらになるのか」という点です。
相続した不動産の取得費はどうなる?
相続した不動産については、原則として、被相続人がその不動産を取得したときの取得費を引き継ぎます。
そのため、相続した時点の相続税評価額がそのまま取得費になるわけではありません。
父が3,000万円で購入した土地を子が相続し、その後5,000万円で売却した場合、原則として取得費は父が購入したときの金額を基に計算したとします。
建物については、被相続人が取得した金額をそのまま使うのではなく、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて取得費を計算する必要があります。
取得費が分からない場合はどうする?
相続した不動産がかなり昔に取得されたもので、購入時の契約書や領収書などが残っていないケースもあります。
取得費が分からない場合、原則として売却価格の5%を取得費とする「概算取得費」を利用することができます。
例えば、5,000万円で売却した不動産の取得費が分からない場合、
■5,000万円×5%=250万円
を取得費として計算できます。
実際の取得費を証明する資料がある場合には、そちらを使用できる可能性があります。
そのため、売却する前に、被相続人が購入したときの売買契約書、領収書、仲介手数料の資料などを確認することが重要です。
相続税の一部を取得費に加算できる場合がある
相続した不動産を売却する場合、一定の要件を満たすと、納付した相続税の一部を不動産の取得費に加算できる場合があります。
これを「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」といいます。
相続税の一部を取得費に加算することで、譲渡所得が小さくなり、結果として譲渡所得税等の負担が軽減される可能性があります。
ただし、この特例には、
・相続や遺贈によって財産を取得していること
・その財産について相続税が課税されていること
・一定の期間内に譲渡していること
などの要件があります。
そのため、相続した不動産を売却する予定がある場合には、相続税の申告時点から売却時の税金まで考えておくことが大切です。
相続した空き家を売却した場合は3,000万円控除が使える?
相続した実家などの空き家を売却した場合、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
例えば、空き家を売却したことによる譲渡所得が2,500万円だった場合、その他の要件を満たしていれば、
■2,500万円-3,000万円=0円
となり、譲渡所得に対する税金がかからなくなる可能性があります。
ただし、この特例は誰でも利用できるわけではありません。
建物の建築時期や相続開始直前の利用状況、売却時期、売却後の利用状況など、細かな適用要件があります。
そのため、「相続した実家だから3,000万円控除が使える」と自己判断せず、適用要件を確認することが重要です。
相続した不動産を売却する前に確認しておきたいこと
相続した不動産を売却する場合は、売却してから税金を考えるのではなく、売却前に税額を試算しておくことをおすすめします。
特に、次のような点を確認しましょう。
・不動産をいくらで取得したのか
・購入時の契約書や領収書が残っているか
・建物の減価償却費はいくらか
・売却時の仲介手数料などはいくらか
・相続税の取得費加算が利用できるか
・空き家の3,000万円特別控除が利用できるか
・譲渡所得税・住民税はいくらになるか
相続した不動産の売却では、売却価格だけでなく、取得費や利用できる特例によって税額が大きく変わることがあります。
相続した不動産は売却前に税理士へご相談ください
相続した不動産を売却する場合、相続税だけでなく、譲渡所得税・住民税まで含めて検討する必要があります。
特に、
「取得費が分からない」
「相続税を払った」
「相続した実家が空き家になっている」
「複数の不動産を相続した」
といったケースでは、利用できる特例によって税額が大きく変わる可能性があります。
税理士法人アンサーズ会計事務所では、相続税の申告だけでなく、相続した不動産の売却に伴う譲渡所得の計算や各種特例の適用についてもサポートしています。
相続した不動産の売却をお考えの方は、売却する前に一度税理士へご相談ください。
まとめ
相続した不動産を売却すると、相続税とは別に譲渡所得税等がかかる場合があります。
譲渡所得は、
■譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
で計算するため、被相続人が購入したときの取得費を確認することが重要です。
また、一定の要件を満たせば、
・相続税の取得費加算の特例
・空き家の3,000万円特別控除
などを利用できる場合があります。
相続した不動産を売却する予定がある場合は、売却前に税額や特例の適用について確認しておくことをおすすめします。