青色申告とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説
個人事業主として開業した方や、新たに法人を設立した方からよくいただく質問の一つが「青色申告とは何ですか?」というものです。
青色申告は、一定の条件を満たすことで税制上のさまざまな優遇を受けられる制度です。
一方で、帳簿作成などの義務もあるため、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが大切です。
この記事では、青色申告の仕組みやメリット・デメリット、白色申告との違いについてわかりやすく解説します。
青色申告とは?
青色申告とは、一定の帳簿を作成・保存し、事前に税務署へ申請を行うことで、税制上の特典を受けられる申告制度です。
個人事業主だけでなく、法人も青色申告の承認を受けることができます。
正しい帳簿を作成し、適正な申告を行うことを条件に、さまざまな税制上の優遇措置が認められています。
青色申告のメリット
青色申告特別控除が受けられる
青色申告特別控除とは、青色申告をしている個人事業主などが一定の要件を満たした場合に、
所得金額から10万円・55万円・65万円のいずれかを差し引くことができる制度です。
控除を受けることで課税所得が少なくなり、所得税や住民税の負担を軽減できます。
例えば、事業所得が500万円の場合、65万円の青色申告特別控除を受けると課税対象となる所得は435万円となります。
435万円は所得税率20%の範囲内なので、所得税は65万円×20%=13万円軽減されます。
さらに復興特別所得税(所得税額の2.1%)も軽減されるため、
所得税:約130,000円 復興特別所得税:約2,730円
合計で約132,730円の節税になります。
そして、住民税も所得が65万円減ることで、一般的には約10%軽減されますので、
住民税:約65,000円となります。
そのため、所得税と住民税を合わせた節税効果は
所得税・復興特別所得税:約132,730円
住民税:約65,000円
合計:約197,700円
となります。
※上記の計算はあくまで一例です。実際の節税額は、所得金額や適用税率、他の所得や控除の状況によって異なります。
ご自身の場合の節税額については、税理士等へご相談いただくことをおすすめします。
赤字を翌年以降へ繰り越せる
青色申告では、赤字(欠損金・純損失)を翌年以降に繰り越せる制度があります。
■個人事業主
一定の要件を満たせば、純損失を翌年以降(以後3年間)へ繰り越すことができます。
■法人
青色申告法人は、欠損金の繰越控除制度を利用できます。
創業間もない会社では赤字になることも少なくないため、大きなメリットとなります。
家族への給与を必要経費(青色事業専従者給与)にできる
家族へ支払う給与について、一定の要件を満たせば「青色事業専従者給与」として必要経費に算入できます。
この制度の利用には「青色事業専従者給与に関する届出書」が必要です。
各種税制の特例を利用しやすい
青色申告を前提として適用される税制上の特例もあります。
そのため、節税を考える場合には青色申告の承認を受けておくことが重要です。
青色申告のデメリット
帳簿作成の手間がかかる
青色申告では、日々の取引を帳簿へ記録する必要があります。
現金出納帳や総勘定元帳などを適切に作成・保存しなければなりません。
書類の保存が必要
帳簿や領収書、請求書などは、法律で定められた期間保存する必要があります。
事前に承認申請が必要
青色申告を利用するには、税務署へ「青色申告承認申請書」を期限内に提出する必要があります。
期限を過ぎると、その年(またはその事業年度)は原則として青色申告ができません。
白色申告との違い
| 青色申告 | 白色申告 | |
| 事前申告 | 必要(原則として最初に青色申告を しようとする年の3月15日まで) | 不要 |
| 帳簿の記帳方法 | 複式簿記(10万円の特別控除の場合は 簡易簿記(単式簿記)でも可) | 簡易簿記(単式簿記) |
| 特別控除 | 65万円・55万円・10万円 | なし |
| 赤字の繰越 | 利用できる制度あり | 原則利用不可(個人事業の場合) |
| 保存帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、 | 収入や経費を記録した帳簿 (現金出納帳、売上帳、経費帳等) |
| 決算書 | 貸借対照表・損益計算書 (複式簿記の場合) | 収支内訳書 |
| 書類の保管期間 | 原則7年間 (領収書・請求書等は一部5年間) | 原則5年間(帳簿は7年間) |
青色申告がおすすめな人
次のような方は、青色申告を検討してみましょう。
・個人事業を長く続ける予定の方
・節税をしたい方・赤字が出る可能性がある方
・家族へ給与を支払う予定がある方
・法人を設立した方
よくある質問
Q.法人は必ず青色申告をした方がいいですか?
多くの法人では、青色申告の承認を受けることをおすすめします。
赤字の繰越控除など、多くの税制上のメリットを受けられるためです。
Q.青色申告はいつまでに申請すればいいですか?
個人事業主と法人では提出期限が異なります。
特に法人は、設立日以後3か月を経過した日と最初の事業年度終了日の前日のいずれか早い日までに提出する必要があります。
Q.会計ソフトがあれば青色申告はできますか?
会計ソフトを利用すると青色申告をしやすくなります。
ただし、会計ソフトを導入するだけで自動的に青色申告ができるわけではありません。
会計ソフトを利用し、日々の取引を正確に入力することで、青色申告に必要な帳簿や決算書を作成できます。
不明な点がある場合は税理士などの専門家に相談することで、安心して青色申告を行うことができます。
まとめ
青色申告は、正しい帳簿作成を行うことで税制上のさまざまな優遇措置を受けられる制度です。
一方で、帳簿作成や書類保存などの義務もあるため、制度を理解したうえで活用することが重要です。
特に法人では、青色申告の承認を受けることで利用できる制度が多くあります。
設立後は提出期限を確認し、早めに手続きを行いましょう。