相続税の税務調査では何を見られる?税務調査のポイントを解説
相続税の申告をした後、「税務調査はどのような場合に行われるの?」「家族名義の預金も調べられる?」「亡くなる前に引き出した現金はどうなる?」など、
不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
相続税の税務調査では、申告書の内容だけでなく、被相続人の預貯金や不動産、生命保険、過去の贈与などについて、申告漏れがないか確認されることがあります。
特に相続税では、被相続人本人の財産だけでなく、家族名義の財産についても確認が必要となるケースがあります。
この記事では、相続税の税務調査で確認されやすいポイントや、税務調査に備えて準備しておきたい資料について解説します。
相続税の税務調査とは?
相続税の税務調査とは、税務署が相続税の申告内容について確認するために行う調査です。
相続税は、亡くなった方の財産をすべて正確に把握して申告する必要があります。
しかし、相続財産の中には、
・預貯金
・現金
・不動産
・株式などの有価証券
・生命保険金
・貸付金
・過去に贈与した財産
など、申告漏れにつながりやすい財産もあります。
そのため、税務署は申告書の内容だけではなく、被相続人の財産状況や過去のお金の動きなども確認しながら、申告内容が適正かどうかを調査します。
相続税の税務調査では何を見られる?
税務調査では、相続財産の申告漏れがないか、財産の評価方法が適切か、債務や特例の適用が正しいかなど、さまざまな点が確認されます。
特に注意したいポイントを見ていきましょう。
預貯金の申告漏れがないか
相続税の税務調査で重要な確認事項の一つが、預貯金の申告漏れです。
被相続人が複数の金融機関に口座を持っていた場合、すべての預貯金が申告されているか確認する必要があります。
例えば、
・普通預金
・定期預金
・定期積金
・ネット銀行の預金
・外貨預金
・証券口座の預り金
などについて、申告漏れがないか確認される可能性があります。
「使っていない口座だから申告しなくてもいい」というわけではありません。
相続開始時点で残高がある場合には、原則として相続財産として確認する必要があります。
家族名義の預金も確認される?
相続税の税務調査では、被相続人名義の預金だけを確認すればいいとは限りません。
例えば、父親が子どもの名義で銀行口座を作り、そこに長年お金を貯めていたとします。
通帳の名義は子どもであっても、
・誰のお金なのか
・誰が管理していたのか
・誰が入金していたのか
・子ども本人がお金の存在を認識していたのか
などの実態を確認した結果、被相続人の財産と判断される場合があります。
このような財産を「名義預金」といいます。
名義預金については、名義だけで判断するのではなく、実際に誰がその財産を管理・運用していたのかなどを確認することが重要です。
亡くなる直前に引き出した現金は?
「亡くなる前に銀行から多額の現金を引き出していた」というケースも注意が必要です。
例えば、被相続人が亡くなる直前に銀行口座から500万円を引き出していたものの、その現金がどこに行ったのか分からない場合です。
この場合、
「口座残高が減っているから、相続財産も減っている」
とは限りません。
引き出した現金が自宅などに保管されていたのであれば、相続開始時点でその現金が存在していた可能性があります。
そのため、亡くなる直前の預金の大きな出金については、その使途を確認しておくことが重要です。
タンス預金も相続税の対象になる?
相続財産になるのは、銀行などの金融機関に預けているお金だけではありません。
被相続人が自宅などに現金を保管していた場合、その現金も相続財産となります。
例えば、
自宅に現金500万円を保管していた
のであれば、その500万円についても相続財産として申告する必要があります。
「銀行に預けていないから税務署には分からない」という考え方は非常に危険です。
過去の贈与も確認される?
相続税の税務調査では、被相続人が生前に家族へ行った贈与についても確認されることがあります。
例えば、
「毎年、子どもに110万円ずつ贈与していた」
という場合でも、贈与の実態や契約内容、相続税の計算上の加算対象となる贈与かどうかを確認する必要があります。
また、贈与したつもりでも、
・贈与契約が適切に行われていない
・贈与したお金を親が管理している
・子どもがその預金の存在を知らない
といった事情がある場合には、名義預金などの問題が生じる可能性があります。
生命保険金は申告されている?
被相続人が保険料を負担していた生命保険契約については、死亡保険金を受け取った場合に相続税の課税対象となることがあります。
生命保険金には一定の非課税限度額がありますが、すべての生命保険金が無条件に非課税になるわけではありません。
また、契約者・被保険者・保険金受取人の関係によって、相続税ではなく所得税や贈与税の対象となる場合もあります。
そのため、税務調査に備えるためにも、保険証券などを整理して契約内容を確認しておくことが大切です。
不動産の評価は正しく行われている?
土地や建物などの不動産については、相続税法や財産評価基本通達に基づいて評価する必要があります。
特に土地については、
・路線価
・倍率方式
・地積
・利用状況
・貸付状況
・土地の形状
などを確認して評価します。
また、小規模宅地等の特例などを適用している場合には、適用要件を満たしているかについても確認が必要です。
不動産は評価額が大きくなりやすいため、評価方法や特例の適用によって相続税額が大きく変わる場合があります。
借入金や葬儀費用は正しく控除されている?
相続税の計算では、一定の債務や葬式費用を遺産総額から控除できる場合があります。
例えば、
・借入金
・未払金
・一定の未払税金
・葬式費用
などです。
ただし、全ての支払いが債務控除や葬式費用として認められるわけではありません。
何を控除したのか、その内容や根拠資料を確認できるようにしておくことが重要です。
税務調査に備えて準備しておきたい資料
相続税の申告をする際には、次のような資料を整理しておくと、後から確認が必要になった場合にもスムーズです。
・預貯金の通帳、取引明細
・証券会社の取引資料
・不動産の登記資料
・固定資産税の課税明細書
・生命保険の保険証券
・借入金の残高証明書
・葬儀費用の領収書
・過去の贈与に関する資料
・贈与契約書
・不動産の売買契約書
・その他財産の取得、管理に関する資料
特に、通帳は相続開始時点の残高だけでなく、過去のお金の流れを確認できる状態にしておくことが重要です。
税務調査で申告漏れが見つかったらどうなる?
税務調査によって申告漏れが発見され、追加で相続税を納める必要が生じた場合には、
本来納めるべき相続税だけでなく、状況に応じて加算税や延滞税が発生する可能性があります。
そのため、相続税の申告では「とりあえず申告しておけば大丈夫」と考えるのではなく、
申告前の段階で財産を正確に把握することが重要です。
相続税の税務調査について税理士に相談するメリット
相続税の申告では、単に財産を集計するだけでなく、
・名義預金がないか
・過去の贈与をどう整理するか
・亡くなる直前の預金の出金をどう確認するか
・不動産を適切に評価できているか
・小規模宅地等の特例を適用できるか
・生命保険金の課税関係はどうなるか
・債務や葬式費用を適切に控除できているか
など、さまざまな点を検討する必要があります。
また、相続税の申告後に税務調査が行われることも想定し、申告の根拠となる資料や財産の内容を整理しておくことが大切です。
税理士法人アンサーズ会計事務所では、相続税の申告だけでなく、財産の把握・評価から申告後の税務調査への対応まで、相続に関する税務をサポートしています。
相続税の申告や税務調査について不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
相続税の税務調査では、申告書の内容だけでなく、
預貯金や不動産、生命保険、過去の贈与など、相続財産全体について確認されることがあります。
特に注意したいのが、
「家族名義だから自分の財産」
「亡くなる前に引き出したから相続財産ではない」
「110万円以下の贈与だから何も確認しなくていい」
といった、名義や金額だけで判断してしまうケースです。
相続税の申告では、財産の名義だけではなく、実際のお金の流れや管理状況まで確認することが重要です。
相続税の申告に不安がある方や、税務調査を見据えて申告内容を確認したい方は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。